「集客」の前に「接客」を見直せ!月間赤字444万円から3ヶ月で黒字化させた考え方

倒産寸前だった借金20億円の家業を再建。1989年生まれ、慶應義塾大学卒、元外資系コンサルタント、現整備工場オーナー。

週に1〜2日ほど整備管理システムCarRideのアイデアをスタッフたちからもらうために出勤しています。

目次

はじめに

僕が前社長から経営を引き継いだとき、倒産までの猶予は1年ほどでした。その会社を数年がかりで再建したあとに、2017年6月にカー用品事業から転換する形で整備事業を立ち上げました。

当然最初はうまくいかずに、初月はなんと444万円の赤字。直前までやっていたカー用品事業の撤退費用を差し引いても180万円の赤字でした。

3年ぶりに当時の損益計算書を見ているんですけど、なかなか刺激的な数字です 笑

けど火事場ほど興奮しちゃうので、当時の僕には良い刺激だったと思います。

この数字が続くと考えると恐ろしいので「すぐに集客をしたい!」という気持ちはあったんですけど、その前に大切なことに着手することにしました。

「集客」の前に「接客」を見直せ

インターネット業界では「穴の空いたバケツ」という言葉がよく用いられます。

「広告を出すの前に、まずは穴の開いたバケツをなんとかしましょう!」

といった感じで使われます。

要するに、「良くない商品・サービスにお客様を呼び込んでもお金と時間の無駄だよー」ってことです。

整備工場においてお客様が知覚できる一番重要な商品・サービスは接客です。

もちろん整備も重要なんですけど、お客様の目にはその違いが分かりません。そのため「接客が良い=整備も良い」「接客が悪い=整備も悪い」という風に映ってしまうんですよねー。

それが良いとか悪いとか言う話は抜きにして、接客がちゃんとしてないと全ては台無しってことです。

目指すべき入庫増加サイクル

広告などの集客で増えた顧客を、「リピーター化」したり、「クチコミ」で他の顧客を増やしたりするのが接客の役割です。肝心の接客が悪いと、どんなに頑張って集客してもこのサイクルがうまく回りません。

接客による入庫数への影響

図だけでは伝わりづらいと思うので、簡単に計算してみましょう。

ここに接客の良いA店と接客の悪いB店があるとします。

それぞれの店が1,000人の集客に成功したときに、合計入庫数ではどのくらい差がでるかというと…

950回の差が出ましたね!

しかも、これはクチコミで増えた顧客の「再来店」や「再クチコミ」を除いたものなので、実際にはもっと差が出ます。

なぜ僕が集客の前に接客を見直そうと思ったか理解していただけたでしょうか?

補足:接客はお得

実は接客ってめちゃめちゃお得なんですよ。

  • 集客は基本的に有料だけど、接客は無料
  • 集客は効果が出ない場合もあるけど、接客はだいたい効果が出る
  • 集客の効果は基本的に1度きりだけど、接客の効果はずっと続く

もう接客に力を入れるしかないですね!

まずは大きな穴をふさぐ

さて、ようやく弊社における具体的な事例に入れます。

2017年6月にカー用品事業から転換する形で整備事業を立ち上げたときに、僕はスタッフの接客を見て絶望しました。正直「店をたたんだ方が良いんじゃないかな?」と思ったこともあります。

けどこれってスタッフの責任じゃないんですよね。企業が悪いときは経営者の責任です。

とにかく前進するために、特に良くない3つの接客を最優先で改善することにしました。

問題1:「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を言わない

お客様が来店されても半分くらいのスタッフは黙ってるんですよ。「マジかよ」と思いましたね。フロントスタッフだとか整備士だとか関係なく、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」は言えて当然。

他業種のお店に入ったときに「いらっしゃいませ」がなかったら、「この店大丈夫?」って思いますもんね。そういう店は数年後には無くなってたりするんですけど、まぁ当然です。

解決策:自ら率先して文化をつくる

こればかりはツールとかアイデアではどうにもならないので、僕も店頭に立って「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を言い続けました。経営者が動かないと誰も動いてくれません。

数週間でイヤイヤ感がありながらも改善が見られ、数ヶ月後には全スタッフが自然に「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を言えるようになりました。

スタッフに感謝ですね。

問題2:お客様からの電話に出ない

電話に誰も出ないんですよ。3コール鳴っても5コール鳴っても出ないんです。それで切れてしまう…。

頑張ってお金を払って集客しても、来店につなげられないという状態。売上的にはこれが一番ダメージが大きかったです。

解決策1:自ら率先して文化をつくる

これも先ほどと同様に、僕も店頭に立って1コールで出るようにしました。

飲食店などに予約の電話をしたときに1コールで出てくれたら嬉しいじゃないですか?整備工場でも一緒です。

電話に出るのが苦手なスタッフも結構いて、改善には数ヶ月かかりました。数ヶ月後にはフロントスタッフは全員1コールで出てくれるようになりました。これでやっと集客する意味が出てきました。

解決策2:検査員用デスクにも電話を置いた

検査員にヒアリングしたら「電話が遠いから出づらい」ということが分かりました。なので検査員用デスクにも電話を置くようにしました。

これにより徐々に検査員も電話に出てくれるようになりました。フロントスタッフが車検の説明などで忙しいときに、検査員が電話に出てくれるとめちゃくちゃ助かります。

そして今では車検の予約電話を受けて、それをシステムに入力するところまでこなしてくれるようになりました。

本当に、感謝です。

問題3:専門用語で接客する

これは他の2つよりはずっとずっとレベル感が高い話です。おそらく全国の整備工場の大半は同様の問題を抱えていると思います。ほとんど気づいてないと思いますが。

昔から僕は車に興味がなく、3年間プリウスを保有していて1回もオイル交換をしたことが無いというレベルでした。みんな「オイル交換が必要」ってどこで学ぶんですかね?自動車学校で教えてくれたら良いのにー!笑

そんな僕だから気づいた問題かもしれません。

業界歴30年くらいのスタッフが車検の追加整備についてお客様に説明しているのをすぐ近くで観察していました。

スタッフ「タイロッドエンドブーツ交換が必要です」

お客様「タイロッド?….」

スタッフ「ステアリングギアボックスから伸びているタイロッドの先っぽについているブーツです」

お客様「え?????」

これがどれほどお客様を不安にさせたことか…。本当に申し訳ないです…。

例えばパソコンのサポートの方からこんな説明されたらどうですか?

ブラウザにログインセッションが残っているせいでリダイレクトされているみたいなので、セッションを削除してください。

めっちゃ怖いですよね??

業界歴の長い人は、どうしても専門用語を使って説明しちゃうんですよねー。

ちなみに僕は「エレメント」「リア」「フルード」「ベルト」という単語も接客時に使ったらダメだと思っています。分からないお客様も大勢いますよ。

解決策1:フロントスタッフは業界未経験のみを採用

プロに「専門用語を使うな」と言うよりも、未経験者に「車の仕組みを覚えて」と言う方が圧倒的に効果があり建設的です。

なので弊社では、フロントスタッフの採用時には業界未経験を条件としています。ちょっと前まで車について何も知らなかった人は、「お客様はほとんど何も知らないということ」「どのように説明したら伝わるかということ」を分かるんですよね。

ただ、これだけでは足りません。

解決策2:画像付き説明を作成して接客画面に表示

誰が説明しても絶対に分かる仕組みを作ることにこだわりました。すべてのお客様に「この店に任せてよかった!」と思われたいんですよ。

整備項目ごとに画像付き説明(車両を撮影したり、イラストを描いたり)を作成して、自社システムの接客画面に表示されるようにしました。

例えば、見積りした整備項目にある「ブレーキライニング交換」という文字をタッチすると下のような画像付き説明が表示されるようにしました。

ほとんどの整備工場では、「ブレーキライニング交換」と書かれた見積書を渡すだけなので、それと比べると雲泥の差。

お客様からも「こんなに詳しく教えてくれるのね」「他のお店は全然こういうこと教えてくれなかった」という声をいただきます。これが整備工場のあるべき姿だと思っています。

これによってお客様の不安や不満を取り除くことができ、さまざまな効果が現れるんですよ。

  • 車検追加整備の受注率アップ
  • 車検追加整備の説明が楽に
  • リピート率アップ