レンタカー市場はどういう状況なの?
レンタカー市場は急速に拡大しており、その需要に応えるように車両台数も増加し続けています。コロナの時期(2020年〜2021年)には一時的に減少したものの、過去15年間で見ると平均6%〜7%ずつ成長を続けています。

レンタカー業が車屋にとって有利な理由は?
車屋(中古車販売店・自動車整備工場・鈑金塗装屋など)がレンタカー業を始める場合、他業種がレンタカー業を始める場合と比べ、以下のような優位性があります。
- 保険会社に高単価で貸し出せる(事故代車を貸し出す際は、レンタカーであれば単価を高く設定できます)
- 既存顧客からの需要がある(繁忙期などで一時的に車両不足となった法人顧客等に貸し出せます)
- 車両の仕入れ価格を抑えられる(登録代行手数料や車販粗利などを他社に抜かれません)
- 修理費を抑えられる
- 人件費を抑えられる(レンタカー業は従業員の稼働率が低いため、車屋の業務と兼務できます)
- 整備管理者を用意しやすい(一定台数以上のレンタカーを配置する場合は整備管理者が必要です)
レンタカー業を開業するまでの流れは?
開業するまでの流れは、以下のようになっています。
手順1:申請書類の提出
以下の書類を揃えて、運輸支局の窓口に提出します。
- 自家用自動車有償貸渡許可申請書
- 貸渡料金表
- 貸渡約款
- 住民票(法人の場合は履歴事項全部証明書)
- 申請者の欠格事由に該当しない旨の宣誓書(法人の場合は役員の宣誓書)
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
- 貸渡し実施計画
- その他の添付書類(レンタカー型カーシェアリングを実施する場合に必要)
「◯◯県 レンタカー 申請」などでインターネット検索すると、国交省のWebサイトから申請書類の詳細を確認できます。
手順2:運輸支局による審査
運輸支局内で書類審査が行われます。通常、書類審査の期間は1ヶ月となっていますが、申請が多い時期や書類に不備があると、審査期間が延びます。もし開業時期が決まっている場合は、余裕をもって申請しましょう。
手順3:許可証等の取得
審査が完了すると連絡が入るので、再び運輸支局の窓口に行きましょう。そこで、「許可証」「レンタカー事業者証明書」「登録免許税の納付書」などを受け取ります。
手順4:登録免許税の納付
登録免許税(9万円)を金融機関で納付し、その領収証を再び運輸支局の窓口に提出します。
手順5:レンタカー登録(わナンバー登録)
自動車検査登録事務所(陸運局)でレンタカー登録を行います。地域によって必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。
レンタカー業の開業後に作成が必要となる書類は?
レンタカー業を開業すると、以下にある4つの書類を作成することが義務付けられています。
貸出のたびに作成が必要な書類
以下2つの書類は、貸出のたびに作成しなければなりません。
- 貸渡証:貸渡し情報を記載した書類です。レンタカーの運転者に携行するように指示する必要があります。
- 貸渡簿:貸渡し情報を記載した書類です。貸渡しの終了日から2年以上保存しなければなりません。
毎年5月31日までに作成が必要な書類
以下2つの書類は、毎年5月31日までに運輸支局長あてに提出しなければなりません。
- 貸渡実績報告書:前年4月1日から3月31日までの、事務所数、車種区分に応じた車両数・延貸渡回数・延貸渡日車数、延走行キロ、総貸渡料金を記載した書類です。貸渡簿に記載された数値をすべて集計して作成します。
- 事務所別車種別配置車両数一覧表:当年3月31日における、事務所名、所在地、車種区分に応じた配置車両数を記載した書類です。
補足:「整備・車販ソフトCarRide」で書類作成を効率化
上記4つの書類は、「整備・車販ソフトCarRide」を利用すると簡単に作成できます。面倒な事務処理を効率化することで、本来の業務に集中できるようになります。
レンタカー業の許可基準は?
レンタカー業の許可基準は以下の通りです。簡単にまとめると、「過去2年以内に悪いことをした場合と、レンタカーが事故を起こしたときに十分な補償を行えるだけの保険に加入しない場合には許可を与えない」という内容です。
①申請者及びその役員が、次に定める欠格事由に該当しないこと。
ア:許可を受けようとする者が1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者であるとき。 |
イ:許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者であるとき。 |
ウ:許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第15条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から2年を経過していない者であるとき。 |
エ:許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの監査が行われた日から許可の取消しの処分に係る聴聞決定予定日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から2年を経過していない者であるとき。 |
オ:許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前記アからエのいずれかに該当する者であるとき。 |
カ:許可を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)が前記アからオのいずれかに該当する者であるとき。 |
②申請者及びその役員が、申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けているものではないこと。
③貸渡自動車は、事故を起こした場合に備えて、十分な補償を行いうる次に定める自動車保険に加入するものであること。
ア:対人保険 | 1人当り 8,000万円以上 |
イ:対物保険 | 1件当り 200万円以上 |
ウ:搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含む。) | 搭乗者1人当り 500万円以上 |
整備管理者の選任が必要となる基準は?
1つの営業所において、一定台数以上のレンタカーを配置する場合は、整備管理者の選任が必要です。
車両の種類 | 整備管理者の選任が必要となる台数 |
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バス等(乗車定員が11人以上の車両) | 1台以上 |
大型トラック等(車両総重量8トン以上) | 5台以上 |
その他の車両 | 10台以上 |
整備管理者は、次の①②いずれかの要件を満たす必要があります。
- ①1級整備士、2級整備士、3級整備士のいずれかの資格を保有している。
- ②扱うレンタカーと同種類の自動車の点検や整備の管理の実務経験が2年以上あり、地方運輸支局が行う整備管理者選任前研修を修了している。
よくある質問
Q.1台からでも始められますか?
はい、1台からでも始められます。台数を増やす手続きは簡単なので、1台から始めても問題ありません。
Q.法人ではなく個人事業主でも始められますか?
はい、個人事業主でも始められます。
Q.レンタカー業の許可を取得するのにいくら必要ですか?
登録免許税の9万円のみです。もし取得手続きを代行業者に依頼すると、別途5万円〜7万円ほどかかります。難しい手続きではないので、ご自身ですることをオススメします。
Q.レンタカー業の許可を取得するのに車両は必要ですか?
いいえ、不要です。レンタカー業の許可を取得してから車両を用意しても問題ありません。
Q.レンタカーにできない車両はありますか?
はい、以下の車両はレンタカーにできません。
- バス(乗車定員30人以上又は車両長が7mを超える車両に限る)
- 霊柩車
- 特殊用途自動車(0ナンバー、9ナンバー)
また、125cc以下の原動機付自転車の貸渡についてはレンタカーの許可は不要です。
Q.中古車をレンタカー登録できますか?
はい、中古車もレンタカー登録できます。ただし、中古車をレンタカー登録する場合、原則として古物商許可が必要となります。