自動車整備工場が開業や設備導入で使える補助金6選(IT導入補助金など)

この記事を書いた人
湯佐卓也(ユサタクヤ)

福岡で『指定整備工場』と『整備・車販ソフトCarRide』の2社を経営しています。

自動車整備工場がもらえる補助金は?

自動車整備工場がもらえる主な補助金を以下にまとめました。

多くの補助金は毎年春以降に募集が開始されますので、開始時期を見逃さないように各補助金の公式ページで最新情報をチェックしてください。

IT導入補助金

2025年3月31日に応募が開始されました。『整備・車販ソフトCarRide』などの整備ソフトを導入する際に最大80%の補助を受けられます。

  • 対象経費:ソフトウェア導入費、ハードウェア導入費
    ※あらかじめ登録されているソフトウェアが対象
  • 補助額:最大350万円
  • 補助率:最大3/4〜4/5
  • URL:https://it-shien.smrj.go.jp/

被害者保護増進等事業費補助金(通称:スキャンツール補助金)

  • 対象経費:スキャンツール導入費
    ※あらかじめ登録されているスキャンツールが対象
  • 補助額:1事業場あたり最大16万円
  • 補助率:1/3
  • URL:https://hogo-zoushin.jp/download2_1.html

ものづくり補助金

  • 対象経費:設備導入費、ソフトウェア導入費、ハードウェア導入費など
    ※製造業だけでなく、自動車整備業などの幅広い業種が対象
  • 補助額:最大750万円〜5,000万円
  • 補助率:最大1/2〜2/3
  • URL:https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

小規模事業者持続化補助金

  • 対象経費:設備導入費、ソフトウェア導入費、ハードウェア導入費、店舗改修費、広告宣伝費など
  • 補助額:最大100万円〜250万円
  • 補助率:最大2/3〜3/4
  • URL:https://www.jizokukanb.com/jizokuka_r6h/

事業承継・M&A補助金

  • 対象経費:設備導入費、ソフトウェア導入費、ハードウェア導入費、店舗改修費、広告宣伝費、専門家活用費、廃業費など
    ※事業承継、事業再編・事業統合や、これらを契機とした新たな取り組みの実施にかかる経費が対象
  • 補助額:最大600万円
  • 補助率:最大1/2〜2/3
  • URL:https://jsh.go.jp/

中小企業省力化投資補助金

  • 対象経費:設備導入費、ソフトウェア導入費、ハードウェア導入費
    ※あらかじめカタログに掲載されている製品が対象
  • 補助額:最大200万円〜1,000万円
  • 補助率:最大1/2
  • URL:https://shoryokuka.smrj.go.jp/

補助金をもらうデメリットはあるの?

返済不要のお金をもらえる補助金ですが、デメリットもあります。デメリットを事前に把握した上で、メリットが上回るのかを検討する必要があります。

主なデメリットは以下の3つです。

補助金の受給には手間がかかる

補助金の受給には、事業計画書の作成や予算の詳細な見積もり、関連する証拠書類の添付など、多くの手間がかかります。また、これらの事務手続きは補助金の申請時だけではなく、補助金受給後にも発生します。

補助金は「前払いではない」ので立替払いが必要

補助金について最も誤解されていることとして、「前払いではない」ことが挙げられます。補助金の審査と支給には時間がかかり、申請から受給までに数ヶ月以上かかるのが一般的です。そのため、事業を進める際に、立替払いの資金を銀行融資などで調達する必要があります。

補助金は収益とみなされ課税対象となる

補助金は収益とみなされ課税対象となります(ただし消費税は非課税)。そのため、補助金により税金が増える場合もあり資金繰りが悪化する場合もあります。条件を満たせば、税金を繰り延べる「圧縮記帳」を使うこともできるので、税理士または税務署に相談しましょう。

補助金の申請代行業者を使うのは危険?

補助金の申請には複雑な手続きや条件があり、申請書類の作成、必要な証拠書類の準備、締め切りの遵守などが求められます。これらの手続きの負担を軽減してくれるのが申請代行業者です。主に、補助金コンサル・行政書士・税理士・中小企業診断士などが行っています。

申請代行業者を使うのは、以下2つのデメリットがあるためオススメできません。

申請代行業者を使うと罰則がある

「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」などの主要な補助金では、事業計画書の作成や応募申請を申請代行業者に任せることが禁止されています。違反が発覚した場合は、補助金に採択されないだけではなく、次回以降の申請ができないなどの罰則が課されます。

以下は、「事業再構築補助金」で発生した違反に対する事務局からの報告です。

第10回公募の申請案件について、アクセス解析の結果、特定の認定支援機関(大阪府)の支援先において代理申請が疑われる申請が確認されました。該当する申請は公募要領違反として、審査対象外としております。

各回の公募要領に記載があるとおり、本補助金は事業計画書を事業者自身にて作成、申請していただく必要があります。
代理申請が行われている場合は公募要領に反する行為として採択取消、又は交付決定取消になり、以後の公募への申請も受け付けない可能性があります。

出典:中小企業等事業再構築促進事業『事務局からのご案内』

申請代行業者は報酬が高額である

申請代行業者の一般的な報酬体系は「着手金15万円 + 成功報酬10%」と非常に高額です。

以下が補助額別の報酬イメージです。

補助額申請代行業者の報酬
300万円15万円 + 300万円×10% = 45万円
500万円15万円 + 500万円×10% = 65万円
1000万円15万円 + 1000万円×10% = 115万円
2000万円15万円 + 2000万円×10% = 215万円

自分で申請すれば発生しなかった費用がこれだけ発生します。また、着手金は補助金が採択されなくても発生するため、その場合は15万円の赤字になります。

手間はかかりますが、自分で申請するのが良いでしょう。昔とは異なり、最近の補助金は申請手順がわかりやすくまとまったポータルサイトや問い合わせ窓口が用意されているので、これらを活用すれば難しくはありません。